第20回 昭和8年9月20日 午後10時45分
地獄と浄土
○ 今朝程の続きを少し。お話が少し残って居ったかね。第五の大悪痛焼、善人は益々善い事をして益々栄える。悪人は益々悪い事して悪より悪に入る。悪人は益々悪を積んで悪のどん底に落ちる。これは弥陀御一人の外に誰も知る者がない。悪人はその大悪の為に地獄の底に堕ちる、その数どれだけあるか数え切れない、沢山な死人が右往左往し逃げまどい阿鼻叫喚の苦しみをなす。その内には肉を切れれ身をさかれ、その苦痛云うべからず。
善知識が無い為に「それを救ってやるぞよ」と云う弥陀の御声は空しく立ち消えてしまう。その三悪道から弥陀の浄土に救いを求める。一心に……… 念仏すれば………今迄の恐ろしい阿鼻叫喚の無間地獄の………。綺麗な花が一花二花人間の身にふりそそぎ、遂にそれが八十億劫の苦しみからのがれられ、安養浄土の七宝の蓮台に達する事が出来る。それには第五の善というものを積まねばならぬ。
やはりお前達は永劫の苦しみから逃れる事が出来ぬ。お前達の苦しみは次から次へ悪業罪業の絶え間なく八十億劫の苦しみが続く。この私の話を聞いて救いの御綱につながらして貰わなあかぬ。その恐ろしい地獄の焔と、極楽の花咲き鳥うたう荘厳とは、お前達に見せてやろうと思っても出来ぬ。恐ろしいわめき、叫びの為に消えてしまう。お前達は私の話を聞いて結構な浄土へ参らして貰わなあかぬ。さあ帰るじゃなあ。 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏
極楽世界は綺麗じゃね−、きれいじゃ。お祖父様、お祖母様お久びりじゃね、有難いなあ。
祖父 凡夫は形の有る物ばかりほか見えぬ、凡夫は其処が分らぬ、形の無い物を見える様にならなあかぬ。
○ 私は娑婆に居りゃ娑婆、極楽に行けば極楽、自由自在に見える。
祖父 お前さんお話してはどうじゃ
○ お祖父様に会わして貰ったら………一緒にお供して………そんなら私が先に行きます。
うん、そうかなそうかな。私の話………外へ出いた方がよいか、大分金も掛る事じゃが………立派な本にして出いて貰おう、親戚へ出いて遣ることにする。そんなら今から準備して。
第23回 昭和8年9月23日 午前11時30分
彼岸
○ あ、お祖父さんか、今彼岸のお参りして帰ってみえた処その綺麗な事と云ったら。
菩薩が歩ませられると十方世界の大地が一時に震えて、そして五百億の法華が生じてその法華は荘厳極まりない。又菩薩が座らせらるる時は七宝の地面が一時に震え、次第に下にさがり下は金光仏の国から上は光明仏の国迄ふるえ、そして其の金光仏、光明仏が相並んで、その沢山な三尊の分身が集まり、そして極楽世界の雲に乗って蓮台の上に座り、そこから法のみのりをわけて懊悩になやむ。
衆生を済度する。この済度によって、慈母の体内にかえって………なくなってしまう。其の時の有様と云ったら白色白光木の声も風の声も鳥の声も、特に今日は荘厳香潔、凡夫の目には目がくらんで見る事出来んが、さっきから長い間二時間ばかりかかったが今帰った。今帰って来た処じゃ。あれはなあ、何と云うか百万遍のお経、ずっと上のそして光明仏の国から金光仏の国迄三尊の、蓮台の上に座り名義信心の法を説き、迷える衆生を一生懸命救ってやろう、仲々救われる人少なし。それだから今迄の少しづつ頂いた功徳が今日になって救われる人がある。